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医療分野のエビデンスの分類方法

医療分野におけるエビデンスの分類方法には、「グレード」とも呼ばれる有効性による分類と、「エビデンスレベル」とも呼ばれる研究デザインによる分類方法があります。

「グレード」は、「強く勧められる」、「勧められる」、「勧められるだけの根拠が明確でない」、「行わないよう勧められる」の4段階に分けられます。

「エビデンスレベル」は6段階あり、科学的根拠が強い順に「系統的(システマティック)レビュー・メタアナリシス」、「1つ以上のランダム化比較実験」、「非ランダム化比較実験」、「その他の準実験的研究」、「比較研究・相関研究・症例対照研究などの非実験的記述的研究」、「専門科委員会や権威者の意見」に分類されます。

「系統的レビュー・メタアナリシス」以外のエビデンスレベルを判定するには、まず、行われようとしている2つの治療法AとBの比較が行われているか否かを問います。

もし比較が行われていなければ、それはエビデンスレベルが最も低い「専門家委員会や権威者の意見」ということになります。仮にAとBの治療法の比較が行われていれば、それが一つの時点のみのデータ処理であるかどうかを問います。

答えが「No」であれば、それが2群以上の群を比較しているか、研究者がAとBを割り付けているか、それがランダムであるかどうかを問います。全て「Yes」なら、そのエビデンスレベルは上から2番目の「1つ以上のランダム化比較実験」ということになります。

システム開発テストにおけるエビデンスとは?

システム開発現場における「エビデンス」といえば、元来は、ハッカーなどによる不正なアクセスや調査行為があったかどうかの「証拠」をとる場合にセキュリティ関係のシステムエンジニアの間で使われていた言葉でした。

現在「エビデンス」は、システム開発のテストの際によく使われるようになっています。

システムを開発した際、今まではエクセルなどの表計算ソフトにテスト項目を記入し、その結果を○か×を入力することでテスト実施明細を作成していました。

しかし、現在はテストを行った際に証拠となる画面をコピーし、それを「エビデンス」として実施明細に貼り付ける方法が多く用いられています。

システム開発現場によっては、テスト結果だけでなく、テストを実施する手順ごとに画面コピーをとったり、そのコピーに細かく注釈をつけることが求められている場合もあります。

画面単体テストなどのモジュールテストの手順は、まずテスターがテスト仕様のテストケースを作成し、レビューアがそのテスト仕様をレビューすることから始まります。

その後、テスターがテストを実施し、レビューアがその実施を確認することになっています。

システム開発のテストの種類には、サブシステムの中にあるプログラムをつなぎ合わせ、それがサブシステムとして正常に作動するかどうかを確認する「結合テスト」と、結合テストをパスしたサブシステムをつなぎ合わせ、全体として正しく作動するかどうかを確認する「システムテスト」と、実際にシステムを使用するときと同じ環境でテストを行う「運用テスト」があります。

医学分野におけるエビデンス研究の種類(ランダム化比較実験とコホート研究)

エビデンス(科学的根拠)を導き出す研究にはいくつかの種類があり、それによって得られるエビデンスレベルにも差があります。

まず、研究の対象をランダムによって2つのグループに分け、片方のグループは薬や看護、検査などの介入をする「実験群」、もう片方は何も行わない「対照群」とし、評価を実施する「ランダム化比較実験」があげられます。

次は、ある集団をコホートと呼び、その集団の中で生活環境、食生活の違い、喫煙や運動がどのように異なるかを調査し、その違いによってその後の経過を観察するという「コホート研究」という方法です。

「コホート研究」には「前向きコホート研究」と「後ろ向きコホート研究」があります。
前向きコホートは、ある集団の経過を観察する方法、後ろ向きコホートは過去の記録によって、集団の中での喫煙や運動、食生活などのイベント発生を見ていく方法です。

「症例対照研究」とは、後ろ向きコホート研究と似ており、ある病気にかかった患者の集団と、なるべく似たような環境、年齢、性別の病気にかかっていない集団を比較し、その集団が過去に、病気となる原因や状況にどれだけ当てはまっていたかを調べる方法です。

最後は、「記述的研究」という、患者に行った治療とその結果をデータにし、まとめて分析することによってエビデンスが得られる方法です。

最もエビデンスレベルが高いのは、ランダム化比較試験で、患者データに基づかない専門家の意見などは、極めてエビデンスレベルが低いと言えるでしょう。

医学分野におけるエビデンス(EBM、エビデンスレベル)

エビデンス(Evidence)とは、実験の結果を元に考えられる科学的根拠を意味しますが、医学分野においては、臨床試験の研究データなどがエビデンスにあたります。

かつての医学界では、医師個々人の経験に基づいて、それぞれの裁量にあわせて治療を行ってきました。

エビデンスは、このような科学的根拠のない治療法を排除し、「良心的に、明確に、分別を持って最新最良の医学知見を用いる」ことを目指し、臨床研究で収集されたデータに基づいた医療を行うための研究データです。

エビデンスを積極的に行うことによって、今まで学術的特徴が顕著なドイツの影響を受けた医学から、臨床重視の英米式医学へと、医学界はシフトしています。

また、EBM(Evidence Based Medicineの略)は、エビデンスベイスドな医療、すなわち「科学的根拠にもとづく医療」を意味し、インフォームド・コンセントの基本とされており、欧米では一般的となっています。

エビデンスは、いくつかの方法による研究や、従来の症例を分析、研究することによって導き出され、その方法次第で、「エビデンスレベル」が変わります。

「エビデンスレベル」とは、患者をはじめとする関係者からの信頼度の指標です。

新しい治療法に触れる際には、その効果について考える前に、その方法がどのような研究から出されたエビデンスなのかを知る必要があります。

臨床的観点から言えば、 エビデンスを示すことによって、医師は患者と相談しながら治療方針を決めていくことが可能になるのです。

科学に基づいた臨床試験の結果を裏づけにする医療は、生理的成因の解明に大きく関係する精神科分野においてたいへん期待されています。

IT業界における「エビデンス」の意味と重要性

「エビデンス」とは、「科学的根拠」という意味で、もともとは医学界で使われる用語でしたが、現在はIT業界でも良く使われるようになりました。

IT業界における「エビデンス」とは、結果を正しく残すための資料であり、ある試験を行った際、その結果が正しかったことを示す証拠となるものや、その根拠を表すものを残すことを意味します。

エビデンスに基づけば、プログラムやシステム上で問題が発生した場合に、その原因を調査することが容易になります。

IT分野のエビデンスの方法には、扱っている画面のイメージをコピー(キャプチャ)したり、データベースの中身を表示して資料に貼り付けたり記載したりすることなどが含まれます。

たいへん手間のかかる作業になりますが、トラブルが発生したときにさかのぼって原因を追究する手間と労力を考えると、あらかじめエビデンスを揃えておくことはきわめて重要であると言えるでしょう。

また、紙による書類を交わすことなくインターネットを通して買い物や、何かの契約を行った場合、企業側に残ったメールサーバやWebサーバ、ゲートログなどのさまざまなログもエビデンスといえます。

インターネット上のやり取りは、顧客側に残るエビデンスがないので、顧客側から情報の開示や説明を求められる機会が数多くあります。

企業側はログの他、使用しているプログラムやソフトのマニュアルなどを揃え、顧客から要請があった場合にすぐに開示できるよう準備しておく必要があるのです。

IT分野におけるエビデンスの重要性は、今後より一層高まることでしょう。